ウンベルト・サバ詩集より「トリエステ」

f0162319_1415789.jpg



街を、端から端まで、通り抜けた。
それから坂をのぼった。
まず雑踏があり、やがてひっそりして、
低い石垣で終る。
その片すみに、ひとり
腰を下ろす。石垣の終わるところで、
街も終るようだ。

トリエステには、棘のある
美しさがある。たとえば、
酸っぱい、がつがつした少年みたいな、
蒼い目の、花束を贈るには
大きすぎる手の少年、
嫉妬のある
愛みたいな。

この坂道からは、すべての教会が、街路が、
見える。ある道は人が込み合う浜辺につづき、
丘の道もある。もうそこで終りの、石ころだらけの
てっぺんに、家が一軒、しがみついている。
そのまわりの
すべてに、ふしぎな風が吹き荒れる、
ふるさとの風だ。

どこにも活気に満ちた、ぼくの街だが、
悩みばかりで、内気なぼくの人生にも、
小さな、ぼくにぴったりな一隅が、ある。



ウンベルト・サバ

須賀敦子訳


*


1本のドラマのような詩。
強い風の吹く中世からの港町の、少しザラザラした情景と
中盤の緊張感から解き放たれる最後の1行が好き。
さいごはいつものサバ独特の優しさ。


**

授業中にトリエステの話になり、サバの故郷という事しかわからないと
イタリア語の先生に話すと、

「サバ知っているの?僕大好きなんだよ。あ~今胸がいっぱいです!!」と。
どうしてか”胸がいっぱいです!!”だけ日本語だった先生。
頬が紅潮していてよほどうれしかったらしい。

持ち時間がなくて詩の事までは話せなかったけれど、
自分の好きな詩の題名くらいはイタリア語で言えるようになっておきたいと、
できれば詩も暗唱できたらいいなとその時思った。
その時はね。

いや、でも、うん。
近い将来の目標にしよう。


写真は今を盛りと咲くベランダの花、ペティ。
[PR]
by cafe-elefante | 2012-08-19 09:31 | ~ウンベルト・サバ詩集より~ | Comments(0)

日々のこと、写真など・・


by kimmiy
画像一覧