ウンベルト・サバ詩集より「われわれの時間」

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一日で、いちばんいいのは
宵の時間じゃないか? いいのに、
それほど愛されてはいない時間。聖なる
休息の、ほんの少しまえに来る時間だ。
仕事はまだ熱気にあふれ、
通りには人の波がうねっている。
四角い家並みのうえには、
うっすらと月が、穏やかな
空に、やっと見えるか、見えないか。
その時間には、田園をあとにして、
おまえのいとしい街を愉しもうではないか。
光に映える入り海と、端正に
まとまった容姿の山々の街を。
満ちたりた僕の人生が、
川が究極の海にそそぐように、流れる時間。
そして、ぼくの想い、足早に歩く
群衆、高い階段のてっぺんにいる兵士、
がらがらと行く荷車に、駆け出して
飛び乗る少年。そのすべてが、ふと
静止するかに見えて。これらの生の営みが、みな
不動のなかにたゆたうかに見えて。

偉大な時間、収穫をはじめたわれわれの
年齢に、よりそっている時間。



ウンベルト・サバ 

須賀敦子訳


*

じぶんが収穫をはじめた年齢にまでたどりついていると思えたら
この世の中を真面目に生きてきたと思っていいのだろう。
と、読後は少し前向きになれた。

市井の人々の人生を包み込むようなあたたかみのある良い詩だな。

詩に添えた写真はイタリア・フィレンツェのDuomoのてっぺんからの眺め。
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by cafe-elefante | 2011-12-02 07:20 | ~ウンベルト・サバ詩集より~